アイドルはゴールデンウィークの夢を見るか?/「夜は空いてる」考察と感想

あなたにとって『アイドル』とはどんなものでしょうか。

私は性別や次元を問わずアイドルという概念が大好きなのですが、今年のKAT-TUNのライブツアーであるHoneyで見た亀梨くんの表情や表現や歌声のひとつひとつがあまりにも魅力的で、『アイドル』のイデアがあるのならそれは亀梨和也の形をしていてほしいと思って終演後に上のツイートをした。私の担当は上田竜也くんなのだけど、亀梨くんの完璧なアイドルっぷりにはいつも惹かれてしまう。

そんな亀梨くんの今年のソロ曲『夜は空いてる』の演出(と歌詞)は、一度見ただけではなかなかかみ砕けず、最初に見てからその次の公演のある翌日まであれはどういった意味をもつのだろうと考え込んでしまうようなものだった。代々木の5公演を通して自分なりの解釈が固まったため、ここに残しておきたい。

結論から言うなら、私はこの曲をアイドルの亀梨和也からファンに向けた祈りの曲だと思った。亀梨くんに限らず、アイドルとファンの関係を歌った曲であると思うが、亀梨くんが歌うことに大きな意味があると感じている。

いらないの?いてよ

『夜は空いてる』の中では「いらないの?いてよ」というフレーズが何度も繰り返されるが、「いらないの?」のあとに「いてよ」という言葉が来るのはすこし不自然だ。「いらないの?」と何かの要不要を問うなら、続くのは「必要としてほしい」という内容であるほうが自然だろう。「いてよ」というここにいることを要求する言葉でも意味が通らなくはないが、やや違和感が残る。ライブに行くまではそれを不思議に思っていたが、これがアイドルとファンの関係を歌った曲であると解釈してからは腑に落ちた。
アイドルは、自分からファンに会いに行くことはできない。ライブやイベントを全国各地でやったとしても、そこにファンが足を運んでくれなければ会えず、ある意味待っていることしかできない。「いらないの?いてよ」は、「捨てないで、変わらずここ(ライブ会場)にいてよ」というアイドルからファンに向けられた祈りだ。

少し脱線するが、私が=LOVEという今大人気のアイドルグループの楽曲の中で一番泣けると思っている『現役アイドルちゅ~』という曲がある。曲調や歌詞はポップで楽しく、アイドルをやっている女の子の心情を歌ったかわいらしい曲なのだが、

なーたんは そう 早起きして
2人の時間を
(楽しみにしてるから)
握手会 コンサート 会いに来て
君のハッピーなその顔 ずっと覚えているわ
今週も 来週も 会いたいなぁ
オシャレなお洋服も準備して待ってるね

という一節に涙腺が刺激されてしまう。これはオタクなんかに会いたいと言ってくれる優しい嘘に泣けるというのはもちろんだが、アイドルはファンが会いに来るのを待つことしかできず、もし仮に(万が一)もう来なくなったファンにまた会いに来てほしいと思ってもアイドルの側からできることなどなにもないという部分に切なさを覚える。

明日もあいしたい baby
腕の中にいてよ
小さな愛の面影が消えちゃう

愛しかない世界に いるから
いらないの?

アイドルというお仕事はたくさんの人に愛されるお仕事であると同時に、たくさんの人を愛するお仕事だ。
ライブで『夜は空いてる』を聞きながら、ふと『推しが武道館いってくれたら死ぬ』のあるページを思い浮かべた。


(『推しが武道館いってくれたら死ぬ』5巻P148)
もし自分の愛を受け取ってくれる人が一人もいなくなれば、アイドルは存在できない。ファンは推しているアイドルが目の前からいなくなってもなんだかんだで生きていくことができるが、アイドルはファンが一人もいなくなってしまったら、アイドルとしては死んでしまう。そんな中で、何度も「愛させて」と静かに歌っているのがこの曲だとしたら切ないな……と感じる。

曲の最後、アウトロの途中で曲が止まって真っ白な照明がついて、亀梨くんのいる部屋のセットに白い布がかけられ、ほとんどの家具は持ち去られてしまう。亀梨くんはそれまで座っていた一人掛けのソファを立ち、ただ部屋が空っぽになっていくのを見つめている。部屋には白い布のかけられたソファだけが残り、そこに再び亀梨くんが座って照明が消え、アウトロの続きが流れて曲が終わる。この演出がどういった意図なのかいろいろと考えたけれど、私には「消費されること」を表現しているように感じられた。ありとあらゆるものを差し出して消費されて、なにも残っていなくても、それでもアイドルでいる以上はステージに立ち続けて消費され続けなければならない。なにもない部屋で白い布がかけられたソファにぽつんと座っている姿は、すり減ってもすり減ってもファンに愛を差し出し続けるアイドルを表しているのだと思った。

アイドルをやめて一人の人間として生活すれば、たとえ誰からも愛されなくても誰も愛さなくても存在できるし、他者に消費される必要もない。けれど、アイドルとしての自分と人間としての自分がすっかり癒着してしまって、切り離せなくなってしまっていたらどうなるのだろうか。

5/4の代々木公演で、東京公演をやるのはかなり久しぶりという話題から、ホテルじゃなくて自宅に帰って朝また来るのは不思議な感じがするよね、という話になった。そのとき亀梨くんが「(朝起きて)そうだ、亀梨やらなきゃって……」と言ったのがとても印象的だった。「アイドルやらなきゃ」ではなく、「亀梨やらなきゃ」なんだ……と思い、少し驚いて、それから亀梨くんが日ごろから背負っているものの大きさを想像した。ジャニーズはだいたいみんな芸名ではなく本名だとどこかで聞いたことがあって(違ったらすみません)、それなのに亀梨くんにとって「亀梨」は人間の亀梨和也ではなくアイドルの亀梨和也を指しているのだろうか、と心配にもなった。
私はKAT-TUNを好きになるまでジャニーズのことを全然知らず、KAT-TUNが何人組かも知らなかったのだけれど、KAT-TUNが亀梨くんのいるグループだということだけは認識していた。それほどに亀梨くんはKAT-TUNの顔で、秋元康風に言うなら、「KAT-TUNとは亀梨和也のことである」と言っても過言ではないはずだ。10周年のライブで、「KAT-TUN亀梨和也でいなくてはと思うこともあった」と話してくれたことも記憶に残っている。常にKAT-TUNの先頭に立ち、完璧なアイドルでいることの重圧はどれほどのものだろう。そんな風に17年以上も生きていたら、アイドルの亀梨和也と人間の亀梨和也の境目を見つけるのはどんどん難しくなっていくのかもしれない。そんな亀梨くんが祈るように「愛させて、ここにいて」と歌うから、こんなにも見る人の心を揺さぶるのだと思った。

これは余談なのですが、「アイドルと消費」というテーマで記憶に新しいのは昨年秋に上田くんが出演していた舞台『Birdland』である。上田くん演じるポールは大人気のロックスターで、たくさんの人に愛され、消費されながら狂っていく。作中では暗に「ポールを苦しめているのはお前ら消費者だ」と何度も客席に語り掛け、終盤ではポールが怯えながら「あいつらが俺を見てる……」と客席を指さし、客電が点く演出がされる。
私はこの舞台が本当に無理でした……
「愚かなジャニオタに真実を教えてやる」という作り手のドヤ顔が透けて見えるようでうんざりしたし、そもそも「アイドルと消費」なんてこの令和の世ではベタベタに手垢のついたテーマでこんな陳腐な表現をされましても……と思った。ドヤ顔したいならあと5回くらい捻ってほしいし、今Twitterで大流行中の漫画ガチ恋粘着獣のほうが100倍くらい的を得ている。
まぁあんまりBirdlandの悪口書くのもあれなのでこれくらいにしておきますが、今年のツアーでの上田くんのソロ曲(Lollipop)は明らかにBirdlandから着想を得たものだった。けれど、上田くんが目をつけたのは「消費」というテーマではなくポールの狂気のほうで、そこに上田くんの感性を感じて面白かったし、「消費」をテーマにした(と私は思っている)ソロ曲をやるのが亀梨くんなのが興味深いなと思った。

また、代々木公演のMCでもうひとつ印象的な会話があった。世間はゴールデンウィークだという話から、「土日はやっぱり外に出づらいよね、時間とかにも気を使うし……」と亀梨くんが言ったのに対し、上田くんは「特に気にしたことがない」と答えたのだ。上田くんは過去のキャラ変がたびたび話題に上がるように「こういう自分でありたい」という強固な理想があってそこに突き進んでいくが、アイドルとしての自分を作り込むようなことはしない。それに対し、亀梨くんはどこまで計算でアイドルをやっていてどこまでが素なのかわかりづらくて、そんなところがとてもアイドルらしいと感じられる。今回のツアーで偶然にもふたりのそんな対比が見られたのが良かった(中丸くんはソロ曲のために衣装替えに行っていていなかったのだが、もし中丸くんがいたらどんな返答をしていたのか聞いてみたかったなと思う)。

こうして好き勝手なことを書くのも消費のうちで、あまり良くないことをしているのだろうなと思う。けれど私はアイドルがいなくてはこのつまらない世界をとても生きていけないし、アイドルだってアイドルとして生き始めてしまったからには誰かに消費されなくてはアイドルでいられない。亀梨くんが「いてよ」と言ってくれる限りは、(できる限り負担にならない形で)ファンでいたいなあと思う。

あとは細々とした演出の話なのですが、亀梨くんのステージと客席の境を曖昧にして新しい空間を作り上げるような演出が好きだ。
『夜は空いてる』と似たようなテーマを扱ったソロ曲で『CAN'T CRY』があるが、私はこの曲の演出も大好きである。1番を客席で歌ったり、2番は丸々ステージで歌わずコンサート会場のロビーで撮った映像を流したりと挑戦的であり、気がつけば曲の世界観に没入している。
今回の『夜は空いてる』での特に好きな演出は、モニターに夜の歩道橋の映像を流し、それに合わせて花道でオレンジ色のぼんやりとしたライトが光っている演出だ。客席はペンライトを消していて、他の照明も消えているので、本当に夜道のような薄暗さでライブ会場でこんな風景が見られることが新鮮で面白く、また先ほどまでいたライブ会場とはまた違う場所にいるように感じられる。

それから、亀梨くんのいつもあんなに強くてかっこよくてKAT-TUNらしいのに、『夜は空いてる』で見せるような儚くてとても触れられないような表現もできる振れ幅も好きです。成人男性を見て消えてしまいそうだ……と思うのは亀梨くんを見たときだけ……。
亀梨くんの作る世界をもっともっと見たいし、次のツアーのソロ曲も楽しみです。さすがに気が早い。

何もかもが嫌になったから新潟にKAT-TUNを見に行った

何もかもが嫌になったから新潟にKAT-TUNを見に行った。
個人的な日記なので特にコンサートのレポ的なあれではないです。

 

何もかもが嫌になった、と言ったけど、主に嫌になったのは人間関係でそしてそれに付随して生活がガタガタになってしまった。
たとえば、毎日連絡を取って毎週遊んで誕生日も祝い合った友達に彼氏ができた途端疎遠になってしまったとか、複数人で仲良くしているグループのうちの自分だけが避けられているような気がするとか、会って遊ぶくらい仲良くなったフォロワーが他の人と遊んだときはツイートするのに私と会ったときだけツイートしてくれないとか、そういったことがやけに気になるようになって、気がつけば人の顔色を窺ってはしんどくなるような状態になっていた。これ以上はおかしくなってしまう、と思って、あれだけ大好きだったTwitterのアカウントを精神に干渉しないものだけを残してほとんど消した。
誰かと自分を比べてしまう。他人にどう思われているかがが過剰に気になってしまう。裏返せば、それは自分に自信がないことの現れなのだと思った。思ったけれど、それをどうにかする方法がわからない。
そんななかで、彼氏ができた友達に、一緒に行く約束をしていたKAT-TUNのコンサートにやっぱり行くことができないと言われた。コンサートまで1週間を切っている頃だった。このようなご時世なので仕方ないし、友達を責める気はまったくない。けれど、新幹線を取り直して、チケットの譲渡を探して、ということをできるほどの気力もその時の私には残っていなくて途方に暮れた。
チケットを譲るだけ譲って、私はもう新潟には行かなくていいかも、15周年のライブが見られないのは残念だけど配信で見たし、と行かない方向に心が傾きつつも二日ほど迷った。
迷ったけれど、今の私に必要なのはどこか遠くに行くことなのではないか(新潟は実際のところそう遠くないのだけれど、私はこの1年とすこし東京から出ていない)と思って、重い体を引きずって新幹線のチケットを取りチケットの譲り先を探した。

 

思えばブログを更新するときは落ち込んでいたり悩んでいたりすることが多い気がする。このブログでしか私のことを知らない人からしたらいつもこんな感じなのかと思われるかもしれないけど、そんなこともない。もっと元気なときのほうが多い。元気な時はわざわざブログを更新しようと思わないからかもしれない。文章を書きたくなるのは、嫌なことやつらかったことをどうにか形にしてアウトプットすることで元気になろうとしている場合が多い。

 

朝6時に家を出て、新幹線に乗った。私は新幹線が大好きだ。もともと散歩や電車から外を眺めることが好きなのだが、やはり乗る路線というのはだいたいいつも同じようなもので、景色もだんだんと見慣れてしまう。たまに乗る新幹線で、自分の住んだことのないエリアの知らない景色を見るのはたまらなく楽しい。
当たり前のことではあるけれど、新幹線や飛行機に乗れば遠くに行くことができる。生まれた時からずっと東京、あるいは東京に隣接した県で育って、「遠征より近くの現場にたくさん行く」派のオタクだった(そしてつい最近まで学生でお金もなかった)私は旅行の経験が著しく少なかった。だから、お金さえ出せば新潟にも仙台にも北海道にも沖縄にも簡単に行けてしまうという当たり前の事実が、頭でわかってはいても実感がなかった。なので、ひとりで遠出をするたび、その気になればどこにでも行けるのだということが私を昂らせ、同時に安心させた。新潟につくまで、ほとんどSNSも見ないで外を眺めていた。2時間というのは案外あっという間だ。

 

新潟についても、朝早かったためお店はやっていなくてスタバで朝ごはんを食べた。新潟駅は仙台駅のような感じかな、と思っていたけれど、思っていたのとは少し違った。わりとこの時点で私は満足していて、ひとりで新幹線に乗って遠出して、知らない駅で降りるという行為だけでもじゅうぶんな気分転換になっていた。さらにこれでこの後KAT-TUNを見られてしまうのだから、遠征というのはお得なものだ。

 

帰り時間の判断も兼ねて朱鷺メッセまで歩いて行ったのだが、とにかく遠かった。なにかのサイトに徒歩20分と書いてあったけれど、私が歩くのが遅いのもあり30分以上かかった。絶対に今度からはバスかタクシーで行こうと決意する。
朱鷺メッセは小さめの武道館のような感じだろうか、と思っていたけれど、どちらかいうとビッグサイト幕張メッセを足しで2で割って小さくしたような感じだった。

 

1度は来るのをやめようと思ったコンサートなので、そして私は席運がよくないので、席には期待していなかった。こんなに小さい箱なのだからどこが当たってもいいだろう、と思っていた。
物欲センサー、というやつなのかはわからないけれど、なんとセンステ横から伸びる花道の角(言葉でどう表現したらいいのかさっぱりわからないのだけどめちゃくちゃいい席ということです)の座席のチケットが発見された。当日まで席のわからないデジタルチケットはこういうところも恐ろしい。心の準備ができていない。このライブの5日前にちょうど神田明神にお参りに行っていて、それもよかったのかも、と思った。神田明神に行ったのは他の推しアイドルのライブの前で、なんとそちらも神席だった。
ファン歴がまだ浅い(5年くらい)ので、こんなにいい席は初めてで戸惑った。チケットをお譲りさせて頂いた方も戸惑っていた。

 

コンサートが始まって、やっぱり近すぎてどうしたらいいかわからなかった。この1年でいくつかライブに行ったけれどKAT-TUNほど規模が大きく、セットや衣装が豪華なものには行っていなかったので、からだに響く大きな音や高そうな布をふんだんに使った衣装からは「ライブに来たのだ」ということがとても久しぶりに感じられたような気がして嬉しかった。KAT-TUNのコンサートでは火が頻繁に使われるというのは有名な話だが、私はあの火の熱さを感じると生きているなぁ、と思う。
『青天の霹靂』はセンターステージで歌う曲で、水の演出が美しかった。上田くんがマントで水を飛ばすのがよく見えた。水の演出は何度も出てくるけど、どれも配信で見たよりもずっときれいで目を奪われて、やっぱり配信で見るのと生で見るのは別物だと再確認した。水の演出のあとには毎回大勢のスタッフさんが急いで床を拭いていて、多くの人の力のもとにライブは成り立っているのだなぁと思った。
配信で見た時にはいろいろな曲をやろうとするかわりに1曲が短くなってしまっていて入り込めないと感じた。けれど、現場で見ていたらそんなこともなくて、むしろ各パートごとに「この年代が好きだった人を刺す」という明確な意図が感じられるのがいいなと感じられた。個人的には『歩道橋』が聞けたことが嬉しかった。
特にLe cielで海賊帆(だよね?)の映像と今の会場で歌っている映像を同時に流す演出がすごかった。当時を知らない私でもぐっときたのだから、当時を知っている人はもう正気を保てないのではないかと思う。曲の最後に映像を投影していた幕が落ちる演出も、過去を大切にしつつも前に進んでいくという意思が感じられるようでいい。
今回のライブを通して一番好きになったのが『ツキノミチ』。デビュー前の曲であり、そして私はバラード調の曲があまり好きではないのでこれまで本腰を入れて聞いたことが正直なかった。投票の結果今回のCDに収録されることになり、初めてしっかりと聞いたように思う。

 

「本当の愛情を求めては ねぇ、いけないの?」
「タネも仕掛けも見え透いた街で いろんな手品 見てきたけど その言い訳が嫌で 嘘つかないこと決めたよ」


音源を聞いた時点ですごい歌詞だなぁ……と思ったのだけど、リフターの上で小さくなって座ってこの歌詞を歌う亀梨くんの背中を見ていたら愛おしくて切なくてめちゃくちゃになってしまった。
KAT-TUNのデビュー前~6人くらい年代の曲ってどれもひりつくみたいな生き急いでるみたいな、あの年の男の子だから歌える曲が多くて、そしてライブの映像やメイキングからも同じような匂いがして、高校生だった私はその映像を見てKAT-TUNを好きになった。自分のいる場所が窮屈そうで毎日なにかに焦ってどうしようもなくて、けどそれを吹き飛ばすくらいのパワーとキラキラを持っているところがいいなぁと思った。KAT-TUNは私より一足早く大人になってしまったけれど、私には今でもまだこの頃の曲や彼らが必要になることがある。そんな中で、今でも昔の曲を歌ってくれるのは素直にうれしいし、逆に今の3人が歌うからこそ出る魅力もあるのではないか、と思う。
『ど~にかなるさ』が大好きで投票もしたんだけど、今回選ばれた3曲はどれもセットリストの中で外せないマスターピースになっていたし、この3曲以外はありえないと思わせられるほどだった。それでも『ど~にかなるさ』は生きているうちに1度くらいライブで聞きたいし、『Messenger』も好きだし、今回ランクインしなかった曲もどうにかどこかで音源化と披露の機会を作ってほしいな……。
10Ksに織り込まれた歴史は全部映像の中で見たものだったけど、今回のライブでは私がファンになってからの5年間もなぞられていることが当たり前だけど嬉しかった。10Ksで見た休止前最後の3人の姿も、復活した時の姿も、3人になってからはじめてのシングルもアルバムも、夏のツアーも、これまで過ごしてきた時間を一緒に振り返ることができるのはとても嬉しいことだし、これからの5年も10年も3人が楽しそうに活動していく姿を見ていたいと感じた。
『Roar』はCDで聞いていたときからずっといいなと思っていたけど、生で見てもやっぱりいい。曲も歌詞も最高。「未来を塞いだ壁は自分でしか壊せない」って歌詞がKAT-TUNらしいし勇気をもらえて大好き。シングルを出せることもコンサートができることも当たり前ではないということが数年で痛いほどわかって、こうして最新のシングルを歌う3人をコンサートで見られることがこのうえなく嬉しくて、この嬉しさを忘れたくなくて何度も噛みしめた。

 

実際のところコンサートの記憶がいつもの10分の1も残っていなくて、近すぎると処理能力をオーバーしていまうのだな……と思った。楽しかった記憶と、近くで見た3人があまりにも美しくて呼吸が止まりそうになった記憶だけがうっすらと残っている。
ひとつだけ、はっきりと覚えていることがある。『Will Be All Right』で目の前にいる上田くんがステージを踏み鳴らした音がすごく大きくてびっくりした。なぜだかその音がひどく愛おしく思えて、泣きたいような気持ちになった。マイクを通していない上田くんが出した生の音を間近で聞いて、生きている……と思った。目の前をリフターで上がっていく上田くんを下から見上げて、生きている間に上田くんをこんなに真下から見上げる機会が今後あるだろうか、と考えた。上田くんが足を上げたとき靴の裏が見えて、衣装のツアーTシャツに開いている穴からお腹が見えた。意外と覚えていますね……。アイドルのことを簡単に神に例えたり信仰……って言ったりするの自分がやるのはあんまり好きじゃないんだけど(信仰するタイプではないので、他の人は好きにしたらいいと思う)このときばかりは祈るような気持ちで上田くんを見上げていた。好きな人があまりにも近くにいると祈ることしかできないらしい。というか、上田くんに対する感情は愛でも恋でもなくて、ただ上田くんを見ると些細なことなんかどうでもよくなるのは事実で、自分でもなんだかよくわからない。

 

気がついたら昼公演が終わっていて、呆然としたまま会場を出た。本当に記憶が全然残っていない。連番した方が初対面だけれどとっても優しくてお話が面白い方で、一緒に昼ごはんを食べてお土産を買った。一緒に朱鷺メッセにもどって、夜公演はお互い別々の人と入るので解散した。こちらが持っていた昼公演と夜公演のチケットを交換していただいた方と一緒に夜公演を見て、ひとりで新幹線に乗って家に帰った。
私はジャニオタの友達が少ないのだけど、チケットの交換などで関わるKAT-TUNのファンの方々はみんな優しい方で、コンサートのたびにいい思い出ばかりが増えていく。今回も例に漏れず楽しいことばかりだったし、1日関わらせて頂いた方々がみんな優しくて申し訳なくなるくらいだったので私も人に優しくしたいなぁ、と思った。

 

きっといつもならもっといろいろ覚えていて、コンサートの感想なんかをいっぱい書いたりするんだろうけど、別に覚えていなくてもいい、と思った。早かれ遅かれいずれ忘れるのだ。べつにすべてを覚えていようと思ってライブに行くわけではない。楽しいことがあったという記憶、ライブに行けば日常を忘れられるという希望があることが私にとっては重要なことだった。
ライブに行ったからといって、私の抱えていた悩みは1ミリも解決していない。けれど、不思議と新潟に行ってからは以前よりもすこしだけ気分が軽くなったように感じられた。遠くに行くこと、KAT-TUNを見ること、おそらくそのどちらかだけではなくて、どちらもが今の私には必要だった。今回一緒にライブを見た方々ともライブがなければお会いすることができなかったわけで、このご時世では難しい面もあるがやっぱりライブはいいな、と思った。
不要不急という言葉が一部で使われているけれど、ライブを見て息ができるようになることだってある、と再確認できた。アイドルは直接的には私を救わない、けれどそれでもアイドルは救いになり得るのだ。今回、新潟に行く選択をして本当によかったと思う。
私の15周年のライブは新潟が最初で最後だけれど、オーラスまで無事に開催できるといいなと思う。そして、本人たちも言っていたけれど、15周年はまだ始まったばかりだ。みんなで楽しい15周年を過ごせること、それから来年も再来年もライブで会えることを願っている。

ドルオタ目線で見る初めてのKAT-TUNコン

KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY TOUR “10Ks!”、東京公演の4月29日、30日、5月1日に行ってきました。
KAT-TUNのメンバーを知ったのはここ数ヶ月、他のジャニーズの知識は皆無という状態のまだハイフンと名乗っていいのかわからないドルオタがコンサートに行った感想を書きます
 

自分のこと

女子アイドルが好き、ジャニーズにはこれまでまったく興味なし→昨年秋、田中聖が好きな友人にKAT-TUNのDVDを見せられ上田竜也に落ちる
何枚かの過去のコンサートDVD、公演までの数ヶ月で必死に集めた知識だけがある状態
こんな感じのおたくです。まあなんかKAT-TUNにはまった経緯とかはまたいつか別記事で書きたいね…
 

3人:5万人

まずなんと言ってもこれ。東京ドームってジャニーズの方々は御用達みたいですがドルオタからしたらまずあんまり来ない規模の会場。私はAKBで来たことがあるだけ。で、AKBグループってご存知の通り人数が3桁いるわけですよ。それに対してKAT-TUN、3人。しかも本人たちの意向でジュニア不在のためほんとに3人のみ。3人であの箱を埋められるのって相当すごくないですか?休止前とかそういう事情もあるのかもしれないけど、それを抜きにしても大人気。しかも、ステージを右端から左端まで行き来したり、トロッコに乗ったり、なんか上に上がったりそのまま移動したりするやつ(名前がわからない)に乗ってみたり、少人数でも常にどこの席にいるファンも一瞬たりとも退屈させないのがすごい。3日間のわたしの席は1階スタンドの後方、天井、バルコニーって感じで特別前の方ってわけではなくて、視力が悪いのもあって常にはっきり見えてたとは言えない感じだったんだけど、大変楽しむことができました。女子ドルにもトロッコとかあるにはあるけどあそこまで縦横無尽に動かないよね。
 

声援が黄色い悲鳴

これはDVD見て知ったことだけど名前コールとかじゃなくて悲鳴なんだ!っていう…名前呼んでてもトーンがドルオタのそれとは違う。最初あの声が出るのか、出たとしても言うタイミングはどこなのかとかすごく不安だったんだけどいざKAT-TUNを目の当たりにしたらそんなのまるで必要のない悩みだった人間には好きなジャニーズが歌って踊るのを見ると悲鳴をあげるという機能がついているんですね。特に亀梨くんには悲鳴を上げてほしいタイミングというのがいくつかあるようなので、それにきちんと反応するファンはすごいなと思ったし一種のリズムゲームのようだと思いました。
 

衣装が豪華

衣装替えが3回くらいある上に全部めちゃくちゃかわいい!最初のこれがジャニーズだ!みたいな海賊のジャラジャラしたやつ、これまたジャニーズっぽい黒いやつ、ストライプの上着のカジュアルでかわいいやつ、その後のなんか赤いやつ(語彙が死んだ)。最初の衣装は上田くんの袖どうなってるんだろう。長袖の上に上着羽織る形にして固定してるのかな?傷が入ってるほうの袖がないのは戦ったときに持ってかれたんでしょうか。そう考えるとじわじわくる。アンコールで着てくるTシャツもアレンジがされてて上田くんの肩にダメージ入ってたり亀梨くんのは文字が10Ksになってたりてで面白い。
ほんとにジャニーズの衣装ってすごいね…どういう勉強したらあのいい感じのジャラジャラ感出せるんだろう
 

演出がすごい

何かにはまると情報収集をしまくるタイプのおたくなのでKAT-TUNを好きになってからツイッターでハイフンの方々のツイートを読みまくっていたんですけど、度々言われているのが「演出がすごい」と。へ〜すごいのか楽しみだな〜なんて楽しみにして行ったらもう、ほんとに、わたし何見にきたんだっけ?アイドルだよね?遊園地とかサーカスじゃないよね?ってレベルの演出。
火!水!火!水!水!火!花火!花火!花火!!!!!!!
ひとつずつ出てきてもすごいのに後半のUNLOCKで全部まとめて出てきたときは気が狂うかと思いましたね…
物理系だけじゃなくて映像も凝ってて目がいくつあっても足りない
あ、ソロがないから曲間に映像を流してそのあいだに着替えるのはいいんだけど客に歌わせてる間に着替えてくるのはさすがに笑った。新しい。
そして演出の中で一番派手でかっこよくてこれなしでは語れないのが、
 

照明がすごい

わたしは詳しい知識はないけどアイドルのコンサートの照明を見るのが好きで、照明はアイドルに魔法をかけてくれるものだと思ってて、なのでKAT-TUNの照明を見て頭がおかしくなりそうになった。こんなに綺麗で手が込んでるなんて聞いてない。照明ってDVDじゃわかりづらいしね………
惜しげも無く使われるレーザーに曲に合わせてくるくると変わるライトの色、メンステバクステの色や花道の色。1日目の1階スタンドで見てるときから感動してたんだけど、2日目天井から見て絶句した。
特に好きな照明は
THE D-MOTION
曲調に合わせた電子系の演出がかっこいい。始まって早々4曲目からこれを持ってくるなんてまともじゃない(褒めてる)。二手に分かれる緑のレーザーとKAT-TUNが歩くのに合わせて変わる花道の色が好き。
In fact
レーザーの多さ、カラフルさがすごい!曲の雰囲気ともよく合ってる。天井で見るのが一番楽しめる曲なんじゃないかなと思う。
KISS KISS KISS
照明がとにかくエロい!KISS KISS KISSの雰囲気にぴったりなピンクをメインに、曲の最初のほうでバクステの縁がピンクや紫や黄色のグラデーションになるのに大変興奮する。これほど照明に色気を感じるのってなかなかない。
BOUNCE GIRL
メンバーを黄色のスポットライトで照らした上から色とりどりのライトが舞うのが最高に綺麗。一番見てて楽しい。夏を具現化した異世界に迷い込んだような錯覚に陥るほどの完成度
UNLOCK
もうこれは言うまでもない。強すぎる物理攻撃にレーザービームが合わさって破壊力絶大。火や花火もカラフルでそれを受ける水にも色が反射してて、これだけで来る価値があったと思えるくらい完成度が高い。大サビで一度停止して真っ暗になってからの盛り上がりは圧巻。余談だけど後半火と水が同時に出てたのに笑った。相対するものすら同時に出してしまうKAT-TUNのMPの高さやばい。
君のユメ ぼくのユメ
3人でいるときのステージ、下から上に向けて差す光がとんでもなく神々しくて美しい。前のUNLOCKとはうって変わってほぼ白いライトだけなのに、強い。最終日に曲の最後水を下から照らすライトがメンバーカラー、しかもKAT-TUNの文字の順番通りになっているのに気がついてうるっときてしまった。こんなに美しいものを見せてくれたKAT-TUNに感謝しかない。
 
基本的に好きな子をずっと見てたいタイプのおたくなので今回のために双眼鏡を買って上田くんをずっとロックオンしてるつもりだったんですが他のメンバーのパフォーマンスにも目がいってしまうし何より演出が本当にすごくて、あっこれは顔を上げて見てないともったいないなという瞬間が多くて。これまで培ってきたライブへのスタンスや価値観をKAT-TUNにたった数時間で簡単に変えられてしまった……悪い男だ…
これだけ演出が凝ってて派手で魔法みたいで、それなのに演出に負けてないKAT-TUNってなんなんだろう!?炎や水や照明を自分のものにして歌って踊るKAT-TUNが暴力的なまでに美しくて、かっこよくて好き。
KAT-TUNと演出が共にあるというかむしろKAT-TUNが魔法を使っているようにも見えるしいっそKAT-TUNも魔法なのでは!?
 

演出のストーリー性

もう100万回言われてることだとは思うんですけど演出のストーリー性がすごい!
GOLDで始まって最初にセットの船が動くのがデビュー曲のReal Face、そして次の曲がBIRTH。BIRTHの歌詞が今のKAT-TUNに苦しいほどぴったりだなと思ってたから、ここで持ってくるの破壊力が高すぎる。
そして少しとんでDead or Alive。田口くんが脱退発表をしたこの曲で、船の舵が激しく動き出す。数曲後の田口くん脱退発表後のシングルTRAGEDYでステージが分解され、船が船の形を保つことができなくなる。歯車がバラバラになり、止まった時計の映像が映し出される。それから最後のシングルのUNLOCKで船が形を取り戻す。
本編最後、君のユメ、ぼくのユメでは3人のいたステージが分かれ、別の方向へと進んでいき、最後にはまたひとつのステージになる。
アンコールでは船の舵、時計が再び動き出す。
わかりやすいまでにストーリーを持ったこの演出が、KAT-TUNからのメッセージだ。
止まった時計、ストーリー性のある演出といえば、4人の最後のMステである。あれと同じような演出を今回見せてくれたのは、Mステは4人だけで完結してしまったから、物語の休載前最後のページはファンと3人で作ろうとしてくれているのかなと思った。
あ、あと、アンコールからステージ上手側の帆の後ろに、後ろを向いている時計のようなものが出現するのがすごく気になる。それに気がついたのが1日目の終わりで、2日目3日目は逆サイドだったからちゃんとは確認できてないんだけどたぶん最初からはないような…時計にも羅針盤にも見えるけど、どっちなんでしょうか。船の舵が時計になるように、どっちもなのかもしれない。
 

楽曲についていろいろ

WHITE
わたしね、めちゃくちゃ好きなんですWHITE。KAT-TUNの楽曲の中で一番好き。だから今回すごく見たかったんですが、なんかあんまり人気なイメージないからやらないかもなと思っててだから序盤で大好きなイントロが流れて感極まりすぎて号泣した。生きているうちにWHITEを歌うKAT-TUNを生で見られるなんて。
 
君が生きるこの空の下生まれてよかった
 
爽やかで切なくて前向きなようで後ろ向きで、でも前向きな曲。
個人的にWHITEはアイドルとファンの曲でもあると思ってます。ほんとに聞けてよかった。充電期間後にまた聞きたい。
 
PERFECT
中丸くん「会えるよね」「見えないよね〜」
わたし「CHAINのDVDで見たやつだ!!!!!!」
かわいい。
 
春夏秋冬
もともと世界観が好きな曲だったけど、いざドームで見ると圧倒される。壮大な映像を背景にKAT-TUNが未練タラタラに思い出を歌い上げるのがたまらない…
歌詞に出てくる季節の通りに照明の色が変わって、気がついたら曲の世界観に入り込んでる。大切な人と一緒に過ごした時間や季節ってそれだけで重みで、意識してなくても思い出ができてて、それを季節が巡るたびに思い出すもので。つまりそういうことですよね、KAT-TUNのみなさん。
中丸くんの低音がいい、っていうのはよく見かける意見で、しかしわたしは音楽の知識が薄すぎる上に声を聞き分けるのが死ぬほど苦手で最近やっとKAT-TUNの声の聞き分けがつくようになってきたレベルの人間なので正直よくわかってなかったんだけど、今回コンサートで聞いてみてすごくよくわかった。特に春夏秋冬の中丸くんの低音がすごく切なげで色っぽくて最高だった。DVDになっても同じように聞こえるんだろうか。
最後拳銃出してくるときに上田くんと亀梨くんは最初自分の頭に銃口向けてるのに中丸くんは真顔で客席を狙ってるのやばい。ひとりだけ海賊じゃなくてヒットマンだよ…
 
DON'T U EVER STOP
STOP!に合わせて炎が出る演出がかっこいい。友達に見せてもらったDVDがCHAINまでだから知らなかったんだけど上田くんメインですやん……
運命はDon't stop。このコンサートを通してもっと好きになった曲。
 
MOON
エロい。
まずなんと言っても亀梨くんがエロい。スタンドマイクの胸元(であろう位置)に顔をうずめてみたり、まさぐってみたり、抱きしめて腰を振ってみたり、押し倒してみたり、また腰を振ってみたり…………KAT-TUNのセックスシンボルの名は伊達じゃなかった。マイクに和装させるって発想もすごいけど、そのマイクを女の子に見立ててセッするって常人の発想じゃない…
大胆な亀梨くんに目が行きがちですが、隣では上田くんがスタンドマイクを担いで振り回してる。どうしてそうなった!?!?!?!?豪華に飾り付けされた綺麗なマイクがもう鉄パイプにしか見えない1日目は担いでるとこしか見てなかったので上田くんはロックダナァ…としか思っていなかったんですが、2日目3日目でその前の上田くんもずっと見てたんですよ。そしたらね、亀梨くんに負けず劣らずめちゃめちゃエロかった。上手く言い表せないんですが、サビあたりでマイクを抱きしめながら若干前に倒すようにして見つめながら歌うんですよ…それが死ぬほどセクシーで…それなのになんでその後振り回しちゃうのかな!?
一度も名前の出てきていない中丸くんですが、2人が何をしていてもまったく気にせず普通に歌ってましたね。ある種中丸くんが一番ロック。
 
KISS KISS KISS
3日間通して横から、上から、後ろからと贅沢に色々な方向から見ることができたので嬉しかった。KAT-TUNを本格的に好きになるきっかけにもなった大好きな曲だからみんな違うところにいるんじゃなくてテレビやPVで見るように3人で踊ってるところが見られて感無量。
それにしても思うことは、本当にダンスがバラバラなんだなあと…持ち前のセクシーさで曲の雰囲気に合わせて色っぽく踊る亀梨くん決められたポイントをひとつひとつクリアしていくような一番原型に近いんだろうなと思わせられるダンスの中丸くん、2人が跳んでるところで1人だけ跳ばないと思ったら大サビ前のピアノ部分で謎の指揮を始める上田くん。まさに三者三様。ここまで動きが揃わないのって揃えるのよりも難しいと思うし、KAT-TUNってほんとに奇跡の重なりでできてるんだな……
ちょっと話が逸れるけど、中丸くんのダンスって派手じゃないんだけど決して没個性じゃなくて、むしろ自分のダンスが常に一番正しんだという自信の現れなんじゃないかという風にすら見える。かっこいい。
 
CHANGE UR WORLD
担当が三輪バイクで東京ドームを滑走して発砲し最後には手榴弾を投げるって何事ですか?最初バイクのエンジン音がしたとき田中くんの再来かと思って腰抜かした…初めて見せられたDVDが田中くんがドームでバイク乗り回すやつだったから…
 
TEN-G
てんぐも中丸クリニックも最終日の喧嘩メドレーもそうだけど、新しいファンにとってはDVDの中でしか見られないはずのものが生で見られる機会になって、昔からのファンにとっては懐かしいものがまた見られる機会になって、最高の構成だと思った。吸血鬼亀梨くん最高にかわいくて悶えてるとこだったからうれしいよ〜
 
GREATEST JOURNEY
今回ほとんどがアルバム曲なのにアンコール1曲目にこれを選ぶあたり需要がわかってるなあと思った。ひたすらにかわいい。ただロバ丸が3回とも自分のいる逆サイドで肩を組むのでつらかった。ロバ丸運のなさ。今回トロッコがロバ丸と亀梨くんって組み合わせで固定なのは原点回帰というか唯一残った昔からのシンメを大事にとかそういうことなんだろうか…ちょっとさみしいね。
 
PRECIOUS ONE
少プレに続きまさか上田くんのピアノが見られるとは…。上田くんがピアノ、中丸くんがボイパ、亀梨くんがボーカルでそれぞれ別の役割を果たして、でも最後には3人で歌うのってこれからのKAT-TUNのありかたみたいだった。
 

上田竜也というひと

上田くんを好きになって数ヶ月。やっと上田くんを生で見た。同じ空間にいる上田くんは画面越しに見る彼のままで、大好きなちょっと鼻にかかったような歌声はさらに魅力的に聞こえたし、スタイルの良さや現実離れした造形は自分の目で見ても変わらなかった。それと逆に驚いたことは、こう言うのもあれなんだけどダンスが得意なほうではなくて、PVのメイキングでもダンスが苦手と言って練習していた上田くんが、意外とガシガシと踊っていることだった。特にそう感じたのはRAYの時で、いつもテレビなどで見ている上田くんのダンスとは違って、新たな上田くんを知ることができて嬉しかった。
3日目の上田くんはふとした瞬間柔らかい笑顔を浮かべていることがあって、双眼鏡越しにそんな彼を見つけてしまった時は腰を抜かしそうになった。友達にDVDで見せてもらっていた2012年あたりまでの上田くんと比べていまの上田くんはファンに対してもツンとしていることが多いような気がしていたけど、最終日の、時に慈しむような目線で客席を見つめて、まっすぐな目で帰ってくることを約束してくれて、ファンに笑っていることを求める上田くんを見て、上田くんの持つ強さに触れられた気がした。3日目の上田くんは1日目2日目よりよく喋るし自分でいかついけどほんとは怖くないとか言っちゃうし何よりファンに対してもメンバーに対してもいつもはあんまり見えないお兄ちゃん的な許容力があって、本当に好きだと思った。
「(叶った瞬間に)努力は努力じゃなくなる」「有言実行するからな!」「KAT-TUNのためになったんじゃないかと思う」
特に胸に残っている3日間の上田くんからの言葉。上田くんが前を向いて頑張っているから、わたしも将来に向けて頑張ろうと思うことができる。
上田くんが好きだな〜!
 

KAT-TUNとファンの10年

さっきも書いたけど、一緒に過ごす時間っていうのはすごく大切なもので、価値のあるもので。デビューから10年、結成から考えるともっと長い年月を一緒に過ごした仲間との別れ、また所属するグループが一度バラバラになるのってどれほど悲しくてつらいことなのか、最近好きになったわたしなんかには計り知れない重みがある。KAT-TUNがどんな苦難を乗り越えてきたのかも色々と聞いたけど、結局聞いてるだけにすぎないし。それでもメンバーの覚悟を決めた表情を見たり、最後の挨拶を聞いて肌で感じることはできた。
いつもクールでしっかりしている中丸くんが小さい子みたいに涙を流して、亀梨くんに手を引かれて上田くんに背中を押されるシーンが目に焼き付いて離れない。すごく意外だったけど、きっとあれが上田くんのマラソンを見て楽屋で泣いていたという中丸くんの素顔なんだろうなと思う。ぽろぽろと泣いていた上田くんのどこかあどけない無防備な表情もそれと同じだ。逆に、亀梨くんはどんなに目が潤んでも泣かずにちょっと困ったような笑顔で中丸くんの手を引いていて、ああこれが最前線でKAT-TUNを引っ張り続けたKAT-TUNの亀梨和也なんだと思った。KAT-TUNっていつもこんな絶妙な奇跡のバランスで成り立ってるから美しいのと同時に儚げで危なっかしくて、だから時に崩れてしまったりもするんじゃないだろうか。
亀梨くんがKAT-TUNの6人全員の名前を出したり、照明にメンバーカラーが使われているのって本当にすごい。ファンが大切に思っているそういうところがメンバーにとっては大切でないってよくあることなんだけどすごく悲しいすれ違いで、わたしにも推しが辞めた後のアイドルグループのメンバーや運営を見て悲しくなる経験があって、でもKAT-TUNはそうじゃなくて、ファンとメンバーの気持ちがひとつになってて。いいグループを好きになったなあ。
今回、数年間ドルオタをやっていて知らなかったこと、アンコールがファンからアイドルに愛や感謝の気持ちを伝える手段になるのだということを教えてもらった。トリプルアンコールの際嬉しそうに出てきて、Real Faceの後ファンにもう一曲とせがまれしょうがないなと満更でもない表情をし、最高の盛り上がりの中で最高のパフォーマンスをしてくれたKAT-TUNのことを、きっとずっと覚えていると思う。世界にはこんなに素敵なメンバーとファンの関係が存在しているのだ。
この先の見通しが立たず、不安や寂しさを抱えた中で、それでもたくさんの愛と幸せに包まれたコンサートを作り上げたKAT-TUNは本当にすごい。
 
 
 
 
 
終わってからしばらくしてもまだふわふわした気持ちのままでわけのわからん長文を書いてしまった…………でもそれくらいすごかった。初めてのKAT-TUN
テレビで見るKAT-TUNがあまりに美しいもんだから、ほんとに実在してるの?くらいの気持ちで行ったんだけど、いい意味で映像や写真のままだった。美術品のように美しいからどんな方法、どんな角度で見てもKAT-TUNはKAT-TUNのままなんだね……セトリをあえて一切見ずに行ったんだけどそれものよかった!もうほんとに楽しかった!
素敵な3日間をありがとう!!!充電完了待ってるよ!!!

ミュージカル ハートの国のアリス~The Best Revival~

本編について感想をまともに文字にしたことがなかったしTwitterだと流れてしまうなあと思ってブログを作ってみました。やりたかったんだよねブログ。数年前にハートの国のアリスアニバーサリーverをプレイ(ただし非コンプ、記憶もおぼろげ)、初演はユリウスENDとブラッドENDのみ劇場で見てそれ以外はDVDで見てます。わたしの主観で書いてる備忘録でしかないのでなんか色々許してください…

深い闇抜けて ひろがる異世界

ハトミュのいいところはたくさんありますがもうなんといってもこれですよ。メインテーマ?って言えばいいんですかね?Fall in Heartland 
冒頭のアリスのソロで盛り上がる音楽と同時に光る照明のまぶしさがすごくすごく好きで、なんなら一番好きって言ってもいいくらい好きで。でもこれってDVDではわからないその場に座ってるときならではのあれじゃないですか……もう見れないんだな……
最初エースがはけるとき道に迷ってるの知らなかったんだけど初演でもやってたんですかね???めちゃめちゃ好きです
 

愛されること

で、『ひろがる異世界』、ハートの国について。
ハートの国では「愛されないと生きていけない」ので、愛されなければすぐに殺されてしまいます。この、ハートの国で生きることのできる条件が愛されることであるというのは余所者として入ってきたアリスが愛されること、愛されて生きることに絶望した女の子であるということに関係があるんじゃないかなあ。アリスが入ってきたから世界のかたちが変わったのか、アリスがそういう女の子だったからハートの国にやってくることができたのかはわからないけど。どっちもかもしれない。
 

かけがえのない命

「人殺しはよくない」「命は大切に」
アリスが人殺しを止めるシーン、命の大切さを説くシーンがハトミュでは何回かあるけど、単に命が大切であるというだけではなく「その人がその人でなくなること」を恐れているように見える。
「私を特別に思ってくれる人なんていない。これからだって現れない。だって、私にも特別と思える人なんていないから。」(原作より)
その人がその人でなくなること、つまり代わりがきくこと、特別でないこと。アリスは誰かひとりに特別に思われることを諦めているけど、ハートの国の住人一人ひとりを特別な代わりのきかない存在として見ることができるんだよね。これはハートの国の住人にはなかった概念で、それで特別であることの大切さに気がつくキャラがいたりアリス自身も特別を見つけてハートの国に残ることを選択するわけだけどまあそのへんはルート別に後述
 

ゲームにはルールがある

ハートの国で生きていくために必要な条件「愛される」ともうひとつ、「ゲームをやり続ける」。アリスのゲームはハートを集めること。
「純粋にゲームを楽しむ者もいれば、抗う者もいる」
住人たちのゲームが何なのかはわからないけれど、とりあえず抗う、役に不満を持つ描写があるのはビバルディとエース。
ゲームをやり続けなければ この国では生きていけない
ビバルディの高音からのエースブラッドとのハーモニーが最高に美しくて不気味で悲壮感に溢れていて何度見ても鳥肌が立つ。人が簡単に死ぬのが当たり前の世界でゲームをやり続けて生きていくためには、アリスのように個人を特別なだれかとして見て、そして命を大切にしていたらきっと精神がもたないし自分の安全を維持するのも難しい。だからそれができて、さらに「役が嫌ならやめちゃえばいいのに」と言い放つアリスを羨ましく思うしそんなアリスにみんな惹かれる。
アリスを愛するペーターに関しても同じで、いままでは特別を作らず他人が死ぬことをなんとも思っていなかったペーターがアリスを心の底から愛して、自分の命にかえても守ろうとする。ハートの国でなくても難しいそんなことをあたりまえのようにやってのけるペーターを、他の住人たちは羨ましく思う。これが表れているのが「みんなのおかげで」の後のアリスを抱きしめるペーターを見つめるエースとボリスなのかなと。原作ではペーターを羨望の目で見つめるビバルディとエースってイベントがあったよね。
 

エースとアリス

ダブルヒロインか?ってくらい話の重要な部分に関わってくるエース。変わることのできない自分を憎んで自分をおいて変わっていくまわりを恨んで、最後にはアリスを殺そうとまでするエースだけど、アリスとエースはよく似てる。
「俺はそのままの君が好きだけど!今のままの、歪んでる君が」
姉さんのように綺麗になれない、変われないことがコンプレックスだったアリスに、エースは当たり前のことのようにこの言葉を投げつける。そして自分だけが変わらないまま取り残されることに苦しみもがき続けるエースに、最後アリスは同じ言葉を返す。
「前にエース、言ってくれたじゃない!歪んでる私が好きって。それと同じ、私もいつも道に迷っている、どこか掴み所のないエースが好きよ」
  もうこの流れが本当に美しくて美しすぎて…すきです……
ボリスとエースの殺陣のシーン、再演からこの2人とアリス以外のキャラが1人ずつ出てきて台詞を言う演出が加わってて、最初はお?って思ったけど最終的に大好きなシーンになった。今回ENDがあるキャラのほとんどの台詞はアリスの心を揺さぶった台詞、またエースの言葉と対になる台詞で、そんな台詞の中で狂ったように剣を振るうエースの姿を見ているのが辛くて仕方がなかった。普段平気な顔をして飄々と生きているエースの精神状態を切り開いて具現化して見せられているみたいだった。
この演出とあとかなりわたしの勝手な想像も入ってるんだけど、エースって昔はアリスと同じ立ち位置だったんじゃないのかなと…
昔はアリスと同じ位置にいた。でもハートの国で生きていくためには、ゲームを続けるためにはそのままではいられなかった。変わりたいと願うことすら許されなかった。苦しみながら生きていくという選択肢しかなかった。だからかつての自分が妬ましい。妬ましくて憎くて殺してやりたいのにアリスを好きな気持ちがどこかにある。他の住人たちがアリスを好きになるから、連動して自分ももっとアリスを好きになる。それと比例してまた殺意が強くなる。
もうエスアリほんとしんどい…つらすぎる……
あとエース単体の話になってしまうけどエースが時計の回収に固執するのは「役に抗う」以外に「俺はこんなに苦しんでいるのにお前らだけ楽になろうなんてずるいじゃないか」っていうのもあるのかなあ…しんどい……
 

生きることは

「生きることは、それほど難しい」
1幕の最初のほうの台詞だけど、結局のところここに回帰するんだよね。
生きることは難しいし、愛されることは難しい。なりたい自分になんてなれない。何を選んでも後悔する。綺麗でも公平でもない歪んだ世界で、それでも生きていかなくちゃならない。わたしは生きているから。
 

君のそばにいる     

「でも、あなたは夢の中にしか……」

「私はいつも、君のそばにいる」

この台詞、このシーンが現実の状況とリンクしてめちゃめちゃつらくて千秋楽に近づくほどつらくて。クインロゼは潰れてるしきっと最初で最後の再演でもう会えない。夢の中の存在でしかない。それでも、って画面の中の、舞台の上のキャラクターたちが最後に投げかけてくれる言葉みたいで今思い出してるだけでもしんどい。

同様に「帰る時」〜エンドまでも非常につらい気持ちになる
 

日替わり

メモしてるわけじゃないからなんとなくの記憶で書くけどなかなかカオスだったね…帽子屋遊園地は事故が多発するし騎士は事故とかいうレベルじゃないし…遊園地の日替わりは初演の時も面白かった(っていっても3つしか見てない)けど安定感あるし面白いし安心して見れてよかった。
エリオットがアリスに披露しようとするのはネタ→ダンス→夢魔のモノマネ→?だったかな…最後覚えてない…双子のつまんないが1日ずつ増えていくの面白かったです
帽子屋遊園地の事故はエリオットが噛んで笑っちゃって終了したりちゅーがあったりとか…あれだね…あとその前の時点でゴーランドのバイオリンが壊れたりなんかのパーツが落ちたり背中に紙の残骸ついてたり波乱万丈でしたな そういうとこ含めて毎日楽しかったけど。
騎士はなんかもうほんとにやばい。着替えシーン後に長いネタ挟むもんだから雰囲気めちゃくちゃだしなによりびっくりするくらいつまんなくてwwwww大丈夫かこれと思ってたら途中から一言になった。やっぱり大丈夫じゃないよねあれ。ボロクソ言ったけど、ただ最初から最後まで苦しみ通すエースが唯一心から楽しそうにしてるって点ではよかった。すごくよかった。だってあの人初っ端から明るい歌と見せかけて
  「何のために生まれて 何のために生きるのか」
ですよ!?!?暗っ!!!!!!!!
 

キャラ(END)別感想

ブラッド=デュプレ(吉岡佑さん)
もうね〜〜〜吉岡さん天下のビジュアルだからブラッドやばい。ほんとにやばい(日本語の崩壊)
正直なところブラッドって特別好きなキャラってわけじゃなかったんだけど、今回見ててすごく好きになった。あの長さの原作を圧縮してるから多少キャラが記号化されててかわいいところがわかりやすくなってるのもあるかも。まあなにより吉岡さんのブラッドが最高なのが原因なんですけど。
あのブラッドのねちっこくて色気のある声を再現しつつ喋って歌ってかっこよくてってすごい。静寂を撃ち抜く銃声かっこいいんだよな…紫のライト似合うよね。ビジュアルは言うまでもなくだしブラッドって現実に再現できるんだなって何度見ても感動する。
ブラッドはなんといってもアリスのことが好きなのがわかりやすいのがかわいい。アリスがエリオットと仲良くしてるだけで不機嫌になるし自分の好意が伝わってないってわかるといじめちゃうし、しかも好きになったきっかけは一目惚れだし。
ENDはこれまた原作やっても初演見ても可もなく不可もなくって感想だったんだけど今回不覚にもときめいてしまった…「君にとって私はなんだ」の言い方に死ぬほど萌えてしまってしかも今回ブラッド初日だったから長いこと苦しんだ。あと今回から追加の「私の妻にならないなら殺してやる!」「あんたと結婚するくらいなら死んでやる!」がよかった。一瞬理解が追いつかなかったけど。
わたしはハトミュで初めて2.5や若手俳優といったジャンルに触れたクチなのでハトミュ以外での吉岡さんを知らないんだけど、それでもあまり泣くようなタイプだと思ってなかったので千秋楽のカテコで泣き出したときはびっくりした。つられてさらに泣いた。この間更新されたブログを見てまた泣いた。
泣く泣かないはともかく、初演の時から吉岡さんのツイートがすごく好きだった。ハートの国のアリスを大切にしてくれてるんだなっていうのが伝わってくる。最後のブラッドENDの日のツイートはもう全世界の人に見せたいレベル。また会いましょう。
 
エリオット=マーチ(磯貝龍虎さん)
初めてハトミュのビジュアルを見た時に、この人いちばんキャラっぽいな〜!って思った記憶が強い。あと劇場で見てその自由奔放さに驚いた記憶も強い。吉岡さんの財布持ってきたりとか。
中身はエリオットだったか?っていうと全面的な肯定はできないんだけど、それはそれでよかった。ふざけてる時と真面目にやってる時の振り幅がすごい。
あとブラッドと仲よさそうなのがよかったな〜実際本人たちが仲いいんだよね?領土争いで杖向けられてるとこ好きでいつも見てた。
ENDに関してはなんか重要なことをさらっとやるけど難しくて…なんでハートを集めると帰りたいと思う気持ちがたまるんだろう。原作やればわかる?
龍虎さんはあんまりハトミュに対して色々言及してるの見ないけどいまだに突然エリオットの写真をTwitterにあげてくださるのでびびる。ありがたし。
 
ペーター=ホワイト(秋元龍太朗さん)
かなり出番が多くて物語の核になるキャラクターのキャスト変更ということで、どうなるのか気になってたけどすごくよかった。
秋元くん細い!めっちゃ細い!細い上にスタイルよくて立ち姿のペーター感抜群だった。赤目似合ってました。
「私の帰りを待っていてくれる人がいる場所、そこが家。」(原作より)
アリスが帰らなくてはいけない理由は姉さんがいるから、姉さんだけが自分を待っていてくれるから。ペーターは他になにも望まないと言えるくらいアリスを愛しているし、アリスの幸せを願っているのに、その思いはアリスには届かない。
ペーターとロリーナは表裏一体の存在で、ペーターこそがアリスの幸せなのにそれを知ればアリスは幸せにはなれない。
アリスが心から望んでいた自分を特別にしてくれる人はすぐ近くにいるのに、ペーターENDでしかアリスはそれに気がつかないの、いくらなんでも切なすぎるよね……
「姉さんだけが私をちゃんと見てくれていた。だから姉さんを悲しませるようなことは、したくないの」
「あなたほど私を愛してくれる人はいない」
この対比がすばらしすぎる。ずっとアリスの幸せを願ってアリスが幸せならそれでいいと言い続けてきたペーターが、自分のENDではやっと帰ってほしくないと告げることができる。そしてアリスが言う言葉が「あなたほど私を愛してくれる人はいない」ですよ。
アリスは自分を特別にしてくれていたひとの存在を見つけて、また自らも相手を特別として選ぶ。連れてこられた異世界は、待っていてくれる人のいる帰る場所になる。これ以上完成度の高い円満なエンディングはありますか?いやない。
「私、もう帰れないんだから!……あなたがいない世界へは、もう、帰れないの」
それにしてもペーターのアリスに対する愛はあんなにも深いのに12公演中2公演しかくっつかないのはほんとに胸が痛くなる。なのでつらくなってきたいい感じのタイミングでペーターENDが入ってくるのがよかった。
 
エース(碕理人さん)
個人的に碕さんのエースの喋り方がすごく好きで。なんか癖になる。初演の時と若干声変えててよかった。
エースについてはなんかもう散々書いちゃったんであれなんですけど、エースEND好きです。あんなに感動的に殺すのやめるって宣言したのにまた足切り落とすとか言い出すあたり相当だよね…
ペーターの純粋な愛に対して、「俺と一緒に迷っていてほしい」っていうのはエースのエゴでしかない。だけど、今のままの君でいい、君となら不幸になれるっていうのは最高で最低の暴力的なまでの殺し文句である。結局のところ変わらなくてもいいっていうのは変わることを諦めろってことと同義なわけで、諦めたふたりは何者にもなれない。それでもエースにとってアリスは希望の光だし、その逆も然り。
「あなたは1人でもやっていけるでしょう?」
「やっていけるさ!……でも、2人で迷ったっていいじゃないか」
この会話が好きだったんだけど、再演ではアリスの台詞がカットされててエースがこの前の台詞と繋げて喋ってた。なんでカットしたんだろう?これないとわけわかんない台詞になると思うんだけど……1回目見た時はそこで若干詰まってたから間違ったのかと思ったけど千秋楽でもそうだった。
END曲の歌詞は前の方が好きだったっていうか前の歌詞の完成度が高すぎた。長いから引用しないけど。あれに全てが詰まっている。
エースENDのほかと違うところは「別に君がいなくたって生きていけるし君といたって幸せになれるわけでもない。でも君といたい」ってとこだと思うんだよねうまく言えないけど…ペーターはアリスがいればそれで幸せだし(さらに好きになってもらったし)、ボリスはアリスがいない世界では生きていけないし。ユリウスは似たようなこと言ってたけどあの人は卑屈だからな……
よくわからんことぐちゃぐちゃ書いたけど、碕さん本人も言っていたように12公演苦しみ続けたエースの答えが見つかってよかった。千秋楽が今回エースになった意味が、最後の日やっとわかった気がした。公演を重ねるごとにどんどん闇が濃くなっていって、初演のときよりももっともっと苦しんでいるエースを見るのがつらかった。だから、エースが最後に大切なものを見つけられたことが嬉しい。本当にありがとうございました。
 
ボリス=エレイ(小西成弥さん)
公演を通して好きになったキャラナンバーワン!ボリス!
小西くんのボリスがほんとにかっこよくてね……いままではかっこいいな止まりだったんだけど1回目のENDで完全に落ちた。めちゃくちゃ気持ち悪いこと言うと舞台上であの一瞬だけ人を恋に落とすことができるのすごいなって思った。それくらいかっこよかった。
ボリスはペーターとはまた違ったタイプだけど特別であることがどういうことかを知っているキャラで、それを教えたのは他でもないアリス。特別であると認識されることがどういうことかに気がついて、お互いがお互いの特別であることを求めた。そういう意味ではアリスに一番考え方が近いかもしれない。
「俺に会えなくなってもいいから帰りたいんだろ!?だったら殺してくれよ」
「あんたがいない世界で生きるなんて死ぬよりも辛いんだ」
ボリスENDは衝撃的な言葉が次から次へと出てくる。まぁ気持ちはわからんでもないけど……
エースENDとは真逆で、アリスのいない世界なんて要らないと叫ぶボリスはひどく痛々しくて、見ていられないほど美しい。気がついたら涙がぼろぼろ出ていて、胸が苦しくなった。
「俺はあんたが好きで好きで、ずっと一緒にいたいだけなんだ」
「君のそばにいる」と一緒でこれもまた自分の状況とリンクしてつらい。わたしはずっと一緒にいることはできなかったけど、ボリスとアリスがずっと一緒にいてくれることだけが救いである。  
小西くんは身体を動かすことが上手な人なんだなあと思う。ハイキュー見に行ったとき達成くんに対しても思ったんだけど、運動神経とはまた違ったもので自分の身体を操るセンスってものがあるんだろうなあ。殺陣は軽やかだし、ダンスもかっこいいし。なによりあのピンクの襟巻き常に巻いてるの相当大変だよね…殺陣やダンスのときうまいこと処理してるの見てすごいなあと。関係ないけど靴飛んで行った回があったね。いつだっけ。あと声が初演のときからかっこいいなと思っていたんだけど、またイケボになりかつ歌が上手くなられていたような…「遊園地の居候」ってフレーズの歌い方めちゃめちゃ好きだ〜
小西くんもハトミュが好き!って発信してくれる人で、写真もいっぱいあげてくれて嬉しかった。
 
ユリウス=モンレー(成松慶彦さん)
もうね、すべての始まり。ユリウスが好きでユリウスENDを見に行って、そこで見たユリウスがあまりにわたしの頭の中の彼すぎて。ユリウスが成松さんじゃなかったら、ハトミュをここまで好きになることもなかっただろうなあ。
好きなキャラが自分と同じ身体を持って目の前にいるって感動を教えてくれたのは他の誰でもないユリウスで成松さんで、この感動をずっと忘れないでいられたらいいな。
ユリウスENDはなんかもうアリスとユリウスが踊ってるだけで号泣して終演後隣の人に心配されたレベルのあれなので書くことないんですけど…………
ユリアリに限らずだけど、舞踏会でアリスが誰かを選んで踊るシーンで必ず涙腺がおかしくなってしまう…主人公と攻略対象がくっついただけでこんなに嬉しい気持ちになるなんてハトミュはすごい
あとユリウスは唯一恋に落ちる瞬間が描かれているのでいいなあと思う。素敵。
唯一といえばアリスが自分の意思だけで帰らないことを決めるのもユリウスENDが唯一だよね。せっかくアリスが帰らないって決めたのにまた卑屈なこと言い出すユリウスのどうしようもなさがたまらなく好き。
ユリウスのことが好きな気持ちは何年経っても変わりません。
 
ナイトメア=ゴットシャルク(髙崎俊吾さん)
アリスとペーターのことをずっと見守り続けたナイトメア。いざ自分のENDがくるのはかなり最後の方で吉岡さんとか何回もナイトメアのENDまだかって言っててwwwずっとアリスのそばにいただけあってやっとくっついた時の達成感やばそうですね…メアアリのあの謎の安定感なんなんだろう。ナイトメアが余裕そうに見えるのが原因だろうか。
お葬式の回想でだけ出てくる雨がナイトメアのENDでは降ってるのと、傘を使った演出が好き。ナイトメアENDが1番穏やかな気持ちで見守れる気がする…
俊吾くんはめちゃくちゃ歌がうまい。でもブログにハトミュが初めてのミュージカルみたいに書いてて腰抜かした。ミュージカルに出ない歌はあまり歌わないって方針でないのなら死ぬほどもったいないのでは!?!?あとあんま関係ないけどTwitterとかブログ見てると人柄がよさそうすぎてなんか心配になる。
千秋楽のカテコでは「ハートの国のアリスの集大成」という言葉を使っていて、1人だけこれが最後であるということを明言していた。そしてブログでも似たようなことを書いていた。そういうところがナイトメアという役柄とマッチしているなあと思う。
俊吾くんのナイトメアの扱いが好きでした。もうあえないなんてさみしくてとけつしそうだ(^ ^)
 
アリス=リデル(松本妃代さん)
最後に妃代ちゃん。
妃代ちゃんに関しては感謝の気持ちしかない。妃代ちゃんは自分がアリスでいいのか不安に思っていたと言っていたけど、妃代ちゃんがアリスだったからこそハトミュはこんなにいいものになったんじゃないかなと思っています。
初演と比べると演技も歌も桁違いにレベルアップしていて、毎日妃代ちゃんのアリスに会えるのがすごく楽しみだった。
うまく言えないけど、妃代ちゃんがアリスで本当によかった。
ありがとうございました。
 
他にも書きたいこといっぱいあるけど収集がつかねえ…小菅さんの歌と演技が日に日によくなっていくの最高に見てて楽しかったとか…林野さんは相変わらず面白いし小西くんと仲よさげでよかったとか…櫻井くんと水澤くんの息が合ってたとか…
 
ハートの国のアリスが終わってしまったこと、ハトミュがもう見られないことがすごくすごく悲しいけど、集大成がハトミュでよかったなと思っている。
それは内容がとてもよかったっていうのももちろんそうだけど、終わりがアニメでも漫画でもない「ミュージカル」だったっていうのもあって。
アニメの最新話は次の話が放送されれば過去のものになるし、漫画もそうだけど、ミュージカルは一度エンディングを迎えても次の日にはまた同じスタートから始まる。それがハトミュの「またゲームを始める」というエンディングと繋がっているような気がして、今もどこかで繰り返されているんじゃないかという気がして、少し気持ちが楽になる。
 
内容めちゃくちゃだけどどうしても初演の千秋楽の今日上げたかったから間に合ってよかった。自分のハトアリとハトミュへの思い入れ的なアレは省いたから後で書きたい。
 
ハートの国のアリスは乙女ゲームの中でも結構人を選ぶ感じの内容だから、キャストのみんながハートの国のアリスを受け入れてくれて、大切にしてくれたことが嬉しい。
またハトミュを見られて本当によかった。
素敵な思い出をありがとう。